| ◇ 鶴田義光 五十音訓「療養川柳」-１◇ | |||||
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| この療養川柳は、久保隅哲彦さんを中心とした文芸川柳の「ひだまり川柳会」の作風に刺激を受けて、鶴田さんがご自分の療養生活を、毎日一句ずつ五十音順に詠みはじめられた頃の川柳です。 | |||||
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| あ あしたからリハビリだぁと先送り | |||||
| い 意味も無くカニューラ弄る長病い | |||||
| う 浮きうきと検査の結果良き数値 | |||||
| え 嚥下力落ちて誤嚥がしのび寄る | |||||
| お 温度差に身構えるごと衣更え | |||||
| か 片手には夫の荷物妻散歩 | |||||
| き きついと言う言葉を呑んで歩きおり | |||||
| く 訓練でいのちも永く気も長く | |||||
| け 健康な心の寄る辺家族たち | |||||
| こ これからも一期一会の志 | |||||
| さ 坂道にたじろぐ散歩肺病い | |||||
| し 深閑と降る雪眺め 篭るのみ | |||||
| す 好きなことだけにしたい 病余生 | |||||
| せ 咳き一つ一喜一憂 肺患者 | |||||
| そ 育ちたる山河を偲ぶベッドの上 | |||||
| た 煙草とは呼吸不全の代名詞 | |||||
| ち 小さめの肺を励ます鼻マスク | |||||
| つ ツマの手に生かされて観る満月かな | |||||
| て テレビ観て情報源の身障者 | |||||
| と 歳のせい病のせいにせずにおく | |||||
| な なにくそと喘ぐ底から闘志出し | |||||
| に 憎まない嫌わないから生きられる | |||||
| ぬ 温もりは受けるばかりの長病い | |||||
| ね 眠ってる時に逝ってと思い有り | |||||
| の 野辺の風破損の肺を駆け巡れ | |||||
| は 春迎へ体重増えて糖下がる | |||||
| ひ 陽射し満ち勇んで飛び出し息切れす | |||||
| ふ 故里を訪うこともなく酸素吸う | |||||
| へ 平穏な呼吸に感謝快晴日 | |||||
| ほ 欲しい事息の切れ間にかろうじて | |||||
| ま まだまだと炎秘めてる持病もち | |||||
| み 満たされた気持ちをせめて明日まで | |||||
| む 難しいと逃げずに頼む命懸け | |||||
| め 面倒をあなただから掛けるのに | |||||
| も もてもての若き頃有りうそぶいて | |||||
| や 薬物は頼らず嫌わずあなどらず | |||||
| ゆ ゆっくりと戻る呼吸に望み持つ | |||||
| よ 余生には息の荒さを連れ添うて | |||||
| ら 楽々と富士の登山を夢遊び | |||||
| り リードする健康なツマ家長並み | |||||
| る 留守番に馴れて気ままに日向ぼこ | |||||
| れ 冷房も暖房も辛き虚弱体 | |||||
| ろ 老化より代謝で若さ保ちおり | |||||
| わ 若すぎる呼吸不全の慢性化 | |||||
| ん ん？なんだと聴き返すこと老いの波 | |||||
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