靄もなく玄界灘は五月晴れ!
    「神ノ湊」バスハイクの旅 
糸島郡二丈町 楢崎恒基

 春のバスハイクは、皆さんの体調が心配になる時期で、出発当日までに身体の不調等から行けなくなった方が数人あったと聞きますが、参加者は会員と家族の43名、それに病院の先生等6名 酸素の世話をして下さるテイジン関係者8名を加えた総勢57名で 去る5月20日、無事に行なわれました。

 その日の朝、南福岡病院の前庭にバス2台が早々に着けられて、9時半集合の会員の到着を待っていました。今回、初めてバスハイクに参加される方が6名ほどおられて、身近な人は、大隈会長さんから紹介されました。
 最近の新しい事情としては、会に入会されて、集会やバスハイクにこれまで1度も見えていない方とも、パソコンのインターネットでメールを交換していて、既に気持が通じている!方もおられました。(メル友の会は現在19名)
 しかし「メールの交換」では判らない、人との初対面での感想は!色々でした。メールと同様に会っても意気投合という人達は好かったなぁ≠ニ出会いの感激に浸っている様子。また、少々オーバーな思い込み?での面映ゆさもあるなど、愉しい出発前の珍しいシーンが病院の玄関先で見られました。
 バスは1台がリフト付き。車椅子の会員も、いつもより朝から機嫌好く、手を振って車上の人になっていました。付き添いの先生がリフト付きバスに乗られるので、自発的にこのバスを選んで乗車する人もいました。2台で50余名なので座席に余裕がありました。会費は何時ものように5,000円。乗車前に石貫副会長さん達が受付てくださった。会費は据え置きのままである。世話役の人達の苦心の経費配分のお蔭であろう。

 バスは10時に予定通り出発しました。
 南福岡病院にバスや車で来る人達が切望している、病院の現バス停から溜池の堤上の狭い道路に左折する角の道の拡幅工事が始まっていました。6月中には完成予定と、大隈会長からマイクで案内されました。これはホットの会として以前からの要望事なので、皆さんの関心は深いはず。
 病院の玄関先までバスが横付け出来る日が早く来ることを願いながら、私達の乗ったバスは、街中を過ぎ、博多湾を左に見る湾岸の高速道路に入り、香椎まで来て高速を降りました。この香椎で二人の婦人が途中乗車されました。リュックをきっちり背負った小柄で優しそうな長年喘息を病むという新会員さんと、一人は歩行に障害を持ちながらもボランティアとして、昨年末のクリスマスイブから福岡ホットの会ホームページを立ち上げ管理をしてもらっているmikiさんです。

 出発から約40分で国道沿いの松原にある国立東福岡病院に寄り、トイレ休憩をしました。男性連は小用の近い人が多いようです。そして用足し時間が一人一人長い?ので、トイレの前に何列にも並び、順番を待つことしばし、でした。
私もその中に居ましたが、何となく可笑しさがこみ上げて来ました。何故か?酸素ボンベカートを引っ張るなどして懸命に生きている姿を、自分ではなく他人の姿で見てしまって、あらためて自分の生き様を自覚した為なのか、、、、。
 ただ黙々と待つ間、青葉の照り返しが眩しいトイレの小さな窓を眺めている様は、吾ながら可笑しくもあり、侘しさも纏わりついて来るような気持でした。
 その点、女性のボディは元々強力に出来ているのでしょうか。動かざること山のごとし。食べて会話も活発。皆さん明るくて、バスハイクの華でした。
 付き添ってくださる看護師さん、テイジンの方々はバスの乗り降りでは、手をとりトイレまで付いて来て下さる。酸素ボンベも持って下さる。勿論、酸素の補給もお願いできる。安心して参加出来るバスハイクである。このような身の世話が必要なために、参加を躊躇してある方は、次回、一度会長さん等に相談されて再考をと、申し上げたい気持になりました。

 東福岡病院を11時に出発して、海岸沿い松原を通り、西鉄津屋崎線の踏切を渡って行くと、家並と松原の合間から紺碧の海の色が目に入り、一方、麦秋の田面が右前方に広がり、風を受けて波打つようにギラギラ陽を反射させていました。
途中、お茶やチョコレートが配られ、疲れを和らげながら、ようやく会場の海浜ホテルに到着しました。11時20分過ぎでした。バスを降りて直ぐに記念写真を撮りました。
 会場のホテルは、白砂青松の勝浦浜の神ノ湊に建っていました。しかも宴会場は11階でした。この時期としては滅多にない靄のかけていない玄界灘を一望出来ました。ホテルの周辺をトンビが悠々と飛び回りますが、それを目の下に見下ろせるのは最高の楽しみでした。鼻に酸素カニューラを付けて、自分が空中(宇宙)遊泳している気分になりました。

 宴会は、山内副会長の司会で始まりました。大隈会長は「会員の高齢化が進みバスハイク参加も体調次第ですので心配しました。今日は天気にも恵まれまして、長生きして此処に来られることを、つくづく幸せと思います。反面、今も苦しんでいる人、すでに、かってバスハイクに参加した方で、永久の旅立ちをされた方も居られます。これからも春と秋のバスハイクに是非参加して欲しい。そして会の総会が6月7日にありますので、それにも是非ご出席下さい」などと挨拶されました。乾杯は、恒例となった長崎市から娘さんの運転で、毎回参加されています蔭山さんが「皆さんの愉しそうなお顔を見て、うれしいです。これからもよろしく」と音頭をとられ、一同、声も高々と盃を上げました。
食卓は五人テーブル、椅子でした。卓の真中に刺身魚の盛り付け皿が二つ三つ。三方に開けた窓からは青い海と、何処までも澄み渡る五月の空が見えました。
 美味しく愉しく、のんびりと時を過ごすうちに、ビンゴゲームが石貫副会長の賑やかな司会進行ではじめられ、ゲームの幸運者から順に景品が全員に渡されました。つづいてカラオケは、得意の人は何度も、押されて歌う人も唄っているうちに、快いムードになりました。何れもうまい人ばかりでした。声は会話の時より唄う時は活き活き。いつもながらこの会で聴くカラオケは楽しく、しんみりします。 
 ホームページ管理のmikiさんは、持参したノート型パソコンでホームページを開いて見せたり、パソコンの質問に答えたりしていました。 大隈会長は元水産研究者として、ここから見える大島、地島、勝島などで研究に携わったことを披露されていました。 また、新入の会員をあらためて紹介されまして新会員もそれぞれ立って挨拶しました。
 
 帰途は近くの宗像大社傍の地元物産館に寄って、お土産など買いました。3時頃にはそこを出発して、福岡市内へ。香椎ではお二人が下車され、高速道路を降りてから清水町で数人が降車「さよなら」をしました。
 この日は陽射しが好過ぎましたので、些か疲れが目立つ人は早々に家路を急ぎました。私もその連れで、バスを離れましたが「足元がふらついていたよ」とバスの中から見ていた人が、あとで心配して言ってくれた程でした。
 自分では、それ程ではなかったのですが、自覚なき老いと思い知りました。大隈会長も触れられましたが、年々、高齢化が進む会員てす。それ故にいっそうありがたいバスハイク≠ナす。

 何度申し上げても足りませんが、バスハイクを支援して下さる南福岡病院の皆様、テイジンのスタッフの方々、会の役員の皆さん、有難うございました。
これからもどうか宜しくお願い致します。

    酸素吸う 旅人同士 緑陰に    恒基
    万緑や 看護師の腕の 温もりよ   〃 
    夕焼けや 旅恋ふこころ 育つ旅   〃
神湊スカイホテル前で、参加者総勢57名の笑顔
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