◇「肺の健康を考えるシンポジウム」◇

基調講演
   ☆「身近な生活習慣病―COPD―」
              相澤 久道先生(久留米大学教授)
   ☆「禁煙を考えよう」
            津田 徹先生(津田内科病院院長)
パネルディスカッション
      「健康な肺で長生きするために」
パネリスト: 久保 明(高輪メディカルクリニック院長)
相澤久道(久留米大学教授)
津田 徹(津田内科病院院長)
柴田建哉(西日本新聞社社会部部次長)
ダカーポ(歌手)
ダカーポによる「ミニコンサート」 

「肺の健康を考えるシンポジウム」を聴いて
二丈町  楢崎 恒基

さる10月5日、アクロス福岡で開催された「肺の健康を考えるシンポジウム」を聴講しました。やはりタバコ、禁煙への関心は高く、会場は満席でした。
先ず、相沢久道久留米大教授の「身近な生活習慣病―COPD―」の講演がありました。
相沢先生の「COPDとはどんな病気か」の説明では、主に咳、痰、息切れなど風邪と同様な症状のため、受診が遅れ手当ても遅れる病気である。従って初期に気がつき難いので、将来、年齢が進むと大きな身体上のトラブルを起こす原因となるのが生活習慣病で、特にタバコがCOPDの中に占める割合は大きいとの事でした。
肺の内部の写真や図解を映して、肺気腫などの病気の状態を説明されました。
アメリカで発表された死亡率の1965年と1998年の比較では、心筋梗塞や脳卒中で亡くなる人は減少しているのに、COPDで亡くなる人は2,5倍に増えています。国内で2001年に行ったCOPD患者数調査では530万人という数字が出ています。これらの状況から、さらに患者の治療に力を入れて取り組まなければならないと、その決意を述べられていました。
次に、津田徹先生が「禁煙を考えよう」というテーマで色々とお話をされました。アメリカでは、道路に大きな広告板を立て、「タバコは害」になると宣伝していると、実際に写してこられた写真を見せられました。日本では、街頭至る所、都会から田舎までタバコの自動販売機が置かれているが、この自動販売機の撤去が促進されることが望ましいとのことでした。
タバコは、吸っている人の身体に入る主流煙よりも周りで吸うことになる非喫煙者の吸う副流煙の方の害が比べものにならない位に酷いと強調されました。
私がよく行く役所などは、庁内の喫煙場所が通路側壁の凹部分に設けられています。もうもうと煙が通路に溢れ出て、臭気が辺りに立ち込めていました。また、利用する西鉄福岡駅の改札口近くの喫煙コーナーの周辺でも、煙と臭気の嫌悪感を覚えました。この2ヵ所の喫煙状況は、今年の夏の様子です。
当日のシンポジウムで配られたパンフレットの一つに「タバコを吸うとどうなるの?」がありました。その「それにタバコを吸う人だけじゃなく」の項には、『周りの人にも迷惑をかける。タバコの煙は肺の中に吸いこまれる煙より、タバコから立ち上る煙、周りの人が無理矢理吸うことになる煙の方が体に悪い物質をたくさんふくんでいるんだ。がんになる物質は3〜20倍、ニコチンは3倍、一酸化炭素は5倍、アンモニアは50倍も多い。』と。また、別のパンフレットには「お腹に赤ちゃんのいる人がタバコを吸うと」の項に『アメリカでは、お母さんのタバコが原因で、生まれてすぐに死んでしまった赤ちゃんが一年間に1000人もいるという。』と書いてありました。
続いて、久保明先生の司会で、相澤先生、津田先生、西日本新聞社社会部部次長柴田建哉氏、歌手のダカーポの方々によるパネルディスカッション「健康な肺で長生きするために」が行なわれました。登場された現役の喫煙者は柴田さんだけでした。「柴田さんは控室でも肩身が狭い思いをして、困ってあるようでしたが・・」と久保先生に矛先をむけられ、柴田さん自身のことや職場での現状を尋ねられました。柴田さんは「自分も一度位は禁煙したことはある」と言われて、それが破れたのは「海外出張で1人になり、つい気がゆるんでしまって、、」と釈明されていました。職場も最近は変わって来ていて入社する新人は殆どタバコを吸わない、とのことです。また、分煙も進んでいるそうです。
ここで柴田さんも体験・検査されたスパイロメーターの結果が相澤先生から発表されました。それは、ちょっと異常があるがギリギリの線で合格?という微妙な内容でした。先生方やダカーポのお2人から「今直ぐ、禁煙宣言を!」と迫られて当人は困惑の態なのに、拍手が会場の参加者から上がっていました。
タカーポのご夫婦も、夫の禁煙には度々の失敗もあり、そのための夫婦喧嘩もあったなど、打ち明け話も出ていました。歌手として声を大事にする責任もあり、今は完全にタバコは絶っているとのことでした。夫人の方もスパイロメーターの検査をされましたが、とても良い結果だと相澤先生のお墨付きでした。お二人共、歌を唄うのが肺機能を高めているのではないか、と先生に問うていましたが、その効果がきっとあるだろう、とのお答えでした。
ダカーポの和みのある歌を聴いて終わりましたが、新聞社の記者さんでも良く知らなかった「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)については、一般の人達までの周知は未だし≠ニ言う事を知らされたシンポジウムでもありました。
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