◇ 全低肺総会及び呼吸器学会との円卓会議報告 ◇ | ||||
糸島郡二丈町 楢崎恒基 | ||||
昨年の11月13日、14日両日に東京で開催されました全低肺の第18回総会と、日本呼吸器学会の呼びかけによる第一回円卓会議に出席する機会を戴きましたので、その報告を致します。 | ||||
特に今回は、患者のQOLの向上と患者会活動のバックアップに熱心な呼吸器学会理事長の福地義之助先生(順天堂大学呼吸器内科教授)が、分裂している患者会の団結を図って、今後急速な増加が予想される呼吸器疾患患者対策を推進するため、次のような観点から円卓会議を計画されたと聞いています。 | ||||
1)欧米では呼吸器疾患関係の医師と患者会が協調して治療対策を進めている。欧米では呼吸器疾患関係の医師と患者会が協調して治療対策を進めている。 | ||||
2)これから、戦後の団塊の世代が高齢化して慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増加が見込まれ、2020年には死亡原因の第3位になると推定されている。その対策として、疾患啓発活動を患者会と協調して進める。 | ||||
3)日本呼吸器学会は平成14年に社団法人組織となって、情報公開活動等に資金を活用することが可能になった。 | ||||
そこで学会が、財政的に資金力の弱い患者会からの出席旅費を負担して東京に集まり、日本呼吸器学会と患者会との円卓会議を開催し、且つ同方針を協議する。その手始めとして「世界COPDデー推進に本大会・メディアフォーラム」を開催し、一般の人々への周知を図る。 | ||||
この計画は、北は北海道から南は九州までの患者会が参加してはじめて意義があるので、大泉全低肺会長から強い出席要請がありました。しかし、大隈会長は体力的に出席は不可能だと、この秋に用件のため上京を予定していた私に「いい機会だから会議に出席してみたら」と連絡を戴きました。私としては結核後遺症で声が出難いので不安でしたが、家内同伴が出来て助かりました。 | ||||
〜*〜全低肺総会開催(13日)〜*〜 | ||||
総会会場と宿泊所は茜荘(東京赤坂、厚生労働省第二共済宿泊所)でした。 | ||||
総会の出席者は代議員24名の中4名の委任状提出を含め22名が出席、三役と常任幹事、事務局、来賓、オブザーバーを入れて32名の多数の参加があり盛会でした。 | ||||
総会の出席者は代議員24名の中4名の委任状提出を含め22名が出席、三役と常任幹事、事務局、来賓、オブザーバーを入れて32名の多数の参加があり盛会でした。 | ||||
総会は酒井副会長の司会で、議長に斎藤氏(神奈川もみじ会会長)が選出され議事が進められました。 | ||||
先ず、大泉会長から『各代表が一泊して会議するのは10年振り、今回、九州から北海道までの代表が出席するのは始めてで記念すべき総会です。議案審議と併せて、明日の円卓会議に対してのご意見も十分にお聴きして、団体として求められている発言をより充実したものにしたい』など挨拶がありました。 | ||||
議案の審議は、一号議案の活動、決算、監査報告、二号議案の新年度の運動方針、予算案、三号議案の規約一部改正、四号議案の役員改選(全員再選)は、いずれも原案通りに承認されました。 | ||||
主な質疑の内容は、 イ)会員が減少して全低肺会費の負担が増している ロ)3級障害者に対する医療補助のないところでは、在宅 酸素の患者で自殺者もでているので助成の早急な実現を ハ)病院側が一方的に酸素会社を変更する事がるが、小さ い業者になって困る場合がある ニ)大震災発生時やその他の災害時に酸素供給は大丈夫か ホ)二級制度の新設を、 などが重要と思いました。 |
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総会のあと全員で夕食を共にして親睦を深めました。 | ||||
〜*〜第一回患者円卓会議開催(14日午前)〜*〜 | ||||
日本呼吸器学会の主催による第一回呼吸器障害者患者団体円卓会議は、14日10時から順天堂大学医学部10号館会議室(文京区本郷)で開催されました。 | ||||
会議には、日本呼吸器学会より福地義之助理事長、堀江孝至会長、佐々木英忠財務委員長、三嶋理晃将来計画委員長、井上洋西支部長会幹事が出席。 | ||||
患者団体からは、☆全国低肺機能者団体協議会(大泉広ほか12名)☆岩手低肺の会(吉崎真也、同夫人)☆全国低肺機能者グループ東北白鳥会(村上きみ子ほか5名)☆日本呼吸器障害者情報センター(遠山雄二ほか8名)☆J-LAM(長岡礼子ほか)☆全国ポリオ会連絡会(小山万里子ほか)☆オブザーバー2名、計37名が参加しました。(敬称略) | ||||
福地理事長は挨拶で『日本呼吸器学会は、昨年8月、社団法人として認可され、以前より大きな社会的責任と役割を担う事になりました。自らの活動を世界的なものと位置づけ、欧米、アジアの代表的な学会と公式に交流を始めました。外国と同様に国内でも開かれた活動を重要な課題としており、その一つとしてこの円卓会議を提唱しました。既に欧米にはそれぞれ患者団体の大きな連合組織があり、社会や国の施策に影響を与えるような活動を行なっています。しかしこの様な団体は日本には未だありません。このため日本全国の複数の呼吸器疾患患者団体に呼びかけ、お互いの連携を固めつつ、患者のニーズの充実に向けて活動される事を願っております』など述べられました。 | ||||
議事は、参加団体の確認と紹介、組織名称と今後の運営方針、参加団体の活動状況の報告、推進のテーマについて、審議が行なわれました。 | ||||
組織名称を『日本呼吸器疾患患者団体連合会』として、発足が発表されました。 | ||||
これについて福地理事長から、個々の患者団体の活動は独自に行い、その上で年一回の会合をもち、集約的な活動を実施すると言う事から「連合会」の名称とする、との説明がありました。 | ||||
運営方針は、年一回の円卓会議の開催、活動内容は、推進テーマを設けワーキンググループを作るなどして取り組む、組織の規約に関しては次回の円卓会議までに作成する、などが決められました。 | ||||
福地理事長は、第一回の円卓会議は日本呼吸器学会が呼びかけて開催したが、今後の活動においての学会の役割は、患者団体の活動に中立の学術団体の立場から、科学的サポートを与えることを考える。患者団体が中心となって活動出来るように組織の規約を作って行く。また、将来的には現在、設立準備を進めている日本呼吸器財団が活動に関与して行くことも考える、などの説明を行ないました。 | ||||
この後以下のように質疑応答が行なわれました。 主な点は、 ○ 円卓会議は年1回でなく2回は開いて欲しい。 ⇒全体で集るのは1回としワーキンググループとしての 活動で充実した実行を。 ○ 日本呼吸器学会に専任の理事を。⇒ご意見は承って置く。 ○ 連絡事務所の設置を。⇒当面学会事務局に置く。 ○ 本日は全低肺下部団体として参加したが、独自に参加 出来ないか、⇒原則として4条件を考えているが、 今後の検討課題とする。 |
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「推進テーマ」については、 | ||||
○ 内部身体障害者認定の問題について、評価の充実。 ○ 呼吸器疾患患者の医療環境の評価と充実 (現行保険医療制度、環境整備) ○ ポリオ、ラム病についての対応を含めて、今後は ワーキンググループをつくり活動を推進する。 以上、承認されました。 |
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第二回世界COPDデー日本大会メディアフォーラム開催 | ||||
(14日14時〜16時30分) | ||||
円卓会議の後、同会場で『COPDをめぐる最近の進展と諸問題』をテーマに、報道関係者ら約50名を招きフォーラムが開催されました。 |
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患者会参加者も全員が聴講しましたが、会場満席となり関心の高さが分かりました。席上、患者代表の1人として大泉会長は「COPDと診断された患者は、ショックで青菜に塩≠フ状態になります。医師はリハビリなど治療すれば元気になる、と希望を持てるよう話して欲しい」と医師側に提言しましたが、福地教授は「酸素チューブを付け外国はどんどん外出している。気力を充実して生きて行かれるよう医師も努めないといけない」など答えておられました。 |
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=会議出席の感想= | ||||
会議への出席が決まり、先ず私が感じたのは、全低肺など関連組織について熟知していない事でした。厳しくなる一方の医療問題などは勿論、医者と患者間の問題を含め、我々が直面する課題についても認識が十分とは言えませんでした。 | ||||
この会議はそれら諸課題に取り組む強力な組織を立ち上げ、発足をみたという重要な会議でした。これからは患者全員が我が身の問題として注目し、関って行くことが切に求められていると思います。 | ||||
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