◇平成13年度アンケート調査の結果◇
会の活動や国、県及び市町村への陳情資料として、会員の年齢構成や病気の種類などの実態を知るために、平成13年9月にアンケート調査を実施しました。
9月末に回収、その後電話聞き取りなどで補完して12月末に集計しました。この集計を行った12月末現在の会員数は205名でしたが7名は医療関係者で会報誌読者としての入会ですので、患者会員は198名です。得られた回答は171通でしたから、回答率は86%に上ります。
この高率な結果は会員の皆様やご家族のご協力によるものです。厚くお礼申し上げます。
1.会員の年齢構成 2.病気の種類構成
3.在宅酸素の利用状況 4.身体障害者手帳の受給状況
5.介護保険の認定者数 6.通院送迎支援
7.パルスオキシメーター 8.ホットの会への意見と要望

1.会員の年齢構成
 年齢区分 合 計
人数 人数 人数
 50歳未満 2 2.0 5 7.0 7 4.1
 50歳代 5 5.1 8 11.1 13 7.6
 60歳代 21 21.2 23 31.9 44 25.7
 70歳代 54 54.5 26 36.1 80 46.8
 80歳代 17 17.4 10 13.9 27 15.8
 合   計 99 100.0 72 100.0 171 100.0
 平均年齢 72.6歳 68.歳 70.8歳
 男女比 58% 42% 100%



   
会員の年齢構成を表とグラフで示しました。これらの表やグラフから判るように、70才以上の高年齢者が目立ちます。男性は70歳以上が7割を超え、女性はちょうど5割でした。
特に今回の調査では80歳以上の高齢者の増加が顕著ですがこれは従来の会員が年齢を重ねて増えたのではなく、80歳を超えて加入される方が多いためです。
女性の年齢構成は70歳代、60歳代、その他の年代がほぼ1/3ずつになっています。男性に比べて女性の平均年齢が4歳も若いのは、30歳代〜50歳の方が多いためです。
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2.病気の種類構成
* 現在はCOPD:慢性閉塞性肺疾患という病名で表す様になっておりますが、この調査の平成13年9月時点では、肺気腫と慢性気管支炎の病名で 別々に調査しております。ご了承下さい。
 病気の種類 合 計
人数 人数 人数
 肺気腫 46 46.5 11 15.3 57 33.4
 結核後遺症 34 34.3 24 33.3 58 33.9
 喘息 4 4.0 9 12.5 13 7.6
 肺線維症 6 6.1 6 8.3 12 7.0
 気管支拡張症 0 0 11 15.3 11 6.4
 慢性気管支炎 3 3.0 2 2.8 5 2.9
 その他 6 6.1 9 12.5 15 8.8
 合 計 99 100.0 72 100.0 171 100.0
病気の種類は、COPD:慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)と結核後遺症が上位を占めることは3年前の調査時と変わりありません。尚、このアンケート調査の時点では、肺気腫と慢性気管支炎を別々に調査したのですが、現在はこの二つを合わせてCOPD:慢性閉塞性肺疾患という病名で呼ぶようになっていますので COPDとして集計いたしますと、男性ではCOPDが全体の半数を占めています。女性は、前回の調査で多かった結核後遺症が減少し、COPD(2割弱)が増加しています。
それ以外の病気では、肺線維症(間質性肺炎)は男女とも同数ですが、数年前より増加傾向にあります。気管支拡張症は女性だけで、喘息も女性が多くなっています。
数としては少ないが深刻な疾患の肺高血圧症、肺塞栓症はその他に分類されておりますが、発症が若い女性に多い、ということが特筆される疾患です。
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3.在宅酸素の利用状況
在宅酸素の利用状況(表3-1)
区    分 人数 割合(%)
 在宅酸素している 117人 68%
 していない 54人 32%
合    計 171人 100%
  (表3-1)

病気の種類別在宅酸素者数
種 類 会員数 酸素者数 割合(%)
COPD 57人 46人 80%
結核後遺症 58人 46人 79%
その他 56人 25人 45%
合 計 171人 117人 68%

(表3-2)

年代別在宅酸素利用者数(表3-2)
区 分 会員数 酸素者数 割合(%)
50歳未満 7人 4人 57%
50歳代 13人 8人 62%
60歳代 44人 29人 66%
70歳代 80人 55人 69%
80歳代 27人 21人 78%
合 計 171人 117人 68%

酸素使用量(リットル/分)
区 分 人数 割合(%)
3リットル未満 78人 67%
3リットル以上 39人 33%
合 計 117人 100%

ホットの会の名称のとおり在宅酸素をしている人がほぼ7割に達しています。病気の種類別では結核後遺症が8割近くで最も多く次いで肺気腫です。その他の病気で在宅酸素率が低いのは喘息患者13人のうち在宅酸素は1人だけだからでしょう。年代別では表3-2に示すように、加齢に伴って酸素の使用率は高くなっています。また、吸入量が毎分3リットル以上の人が1/3に達し、外出が制限されるようです。
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4.身体障害者手帳の受給状況
区 分 人数 割合%
受給者 119人 70%
未受給者 52人 30%
合 計 171人 100%

身体障害者手帳の等級別人数
区 分 人数 割合%
 1級 65人 55%
 2級 5人 4%
 3級 39人 33%
 4級 10人 8%
合 計 119人 100%
呼吸器疾患による身体障害者手帳の交付には基準があり肺機能検査による予測肺活量1秒率、動脈血ガスの数値及び医師の臨床所見によって判定されます。
このように厳しい基準があるにもかかわらず、会員の障害者手帳書所持率は70%であり、等級も最も重い1級が受給者の受給者の55%を占めていますが、会員のほぼ4割が身体障害者1級の認定を受けていることになります。
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5.介護保険の認定者数
区 分 人数  割合(%)
  認定者 44人 26%
  未認定者 128人 74%
合 計 171人 100%
   
 認定介護度(表5-2)

区分 人数 割合(%)
 要支援 11人 25%
 要介護 1 22人 50%
 要介護 2 10人 23%
 要介護 5 1人 2%
合計 44人 100%

 居住条件と介護保険(表5-3)
居住条件 人数 介護保険
認定者数
居住条件と
認定の割合
独居 32人 13人 30% 13/32 38%
夫婦 66人 17人 39% 17/66 26%
同居 73人 14人 31% 14/73 19%
全会員 171人 44人 100% 44/171 25%

介護保険の認定を受けている人は44人で、回答者の約1/4です。介護度は表5-2に示すように要介護1が半数で、残りを要支援要介護2が二分し、1人だけ要介護5の人がいますが、この方は他の障害もあるからだそうです。

介護保険の認定を受けた人の居住形態(独り住まい、夫婦二人又は親子や兄弟姉妹の同居)を表5-3に示しました。
この表やグラフにも見られるように、少し動いても息苦しい呼吸器障害者が生活の全てを自力で行うのは難しいため独居の場合は介護保険の依存率が高くなっています。
同居生活の場合は家族の援助が得られるため、介護保険への依存度は独居の場合の半分になり、いわゆる老々介護が進んだ夫婦が、中間に位置しています。
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6.通院送迎支援の希望
人工透析の為の通院を支援するボランティア団体『ステップ福岡』さんから「可能な限りホット患者も支援しましょう」という好意の申し出がありましたので、アンケートを採りましたところ、63人が希望すると答えられ、送迎希望率は4割近くに上りました。 
 
通院支援希望者数
区 分 人数 割合(%)
希望する 63人 37%
希望しないか無回答 108人 63%
合 計 171人 100%
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介護タクシーの利用に関して、平成15年度から大きく制度が変わりましたので、現在の送迎の制度については、
「介護保険:介護タクシーの変更点」でご確認下さい。
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7.パルスオキシメーターについて
動脈血がどのくらいの酸素を持っているかは、呼吸器障害者には重大な関心事です。従来はその酸素を測るには医師が注射器で腕の動脈から採血して測っていました。しかし、近年のモニター類の進歩の中でも一大ヒットといわれるパルスオキシメーターの出現によって、今までのように痛い思いをせず、指先を洗濯バサミのようなもので挟むだけで酸素を測ることが出来るようになりました。
岐阜県では平成10年から福祉機器の助成事業として、パルスオキシメーターの購入費を助成しています。発売時の価格は13万5千円でしたが、普及が進んで量産されるようになり、現在の実勢価格は6万円まで安くなりました。
最近、病院の廊下を腕時計型のパルスオキシメーターを付けて歩いている方を見かけます。どのくらいの人が持っているか実態を知り今後の陳情活動の資料にするため質問の項目に加えました。
 パルスオキシメーターに関する調査
区  分 人 数 割合(%)
 持っている 43人 25%
 持っていない 130人 75%
合  計 171人 100%

表および図で見られるように1/4の人が持っていると答えられましたが、「安く買えるようなら買いたい」との回答も数名ありました。現在 会で判っているのは次の4種類です。
(※下の表は、いずれも定価を表示しておりますが、実勢価格は下がっているようです。購入の際は、各業者にお尋ね下さい)

取 扱 品  名 形 状 特    徴
帝人 パルソックス-M 手首に装着可能な腕時計型で、指先にはめるグローブは軽量で2種類ある。
(製造元:ミノルタ、無償保証は1年間)
120,000円
チェスト オニックス 世界のトップメーカー、ニノン社製。測定精度は信頼性を認められている。国立病院等でも多数の実績がある。
97,000円
小池
メディカル
フィンガーSO2 軽くて小さいハート型。
指を差し込んでスイッチを押すツーステップ測定。
大きい文字で見やすい液晶画面。
49,800円
エムシー
メディカル
指輪型パルス
オキシメーター
世界最小・最軽量で指にはめるだけで自動的に測定を開始しはずして測定終了。
スイッチ操作は必要なし。
47,000円
それぞれに特徴のある製品ですが、1個が数万円もする高価なものですから、購入に当たっては使用体験者などの参考意見をよく聞いてください。また、測定値を神経質に気にする方にはあまりお勧め出来ません。数値を参考にして行動し、安心を買うような気持ちで使いましょう。
※なお、新しく発売された2種類のパルスオキシメーターの情報を載せておりますので、ご購入の参考には こちらも是非ご覧下さい。⇒新しい<パルスオキシメーター>2種類の紹介

全低肺のH.14.3.4付けの会報によると、前記の岐阜県に続き「兵庫県宝塚市では市独自の制度として、障害者に給付される日常生活用具にパルスオキシメーターを加え、平成13年度から、呼吸器と心臓の身体障害者手帳所持者の全員を対象に購入費の支給が実現した」と報じています。

最近届いた、宮城県仙台市の低肺団体「東北白鳥会」の村上会長からの知らせによると、北海道・東北7県の障害福祉主管課長会議は、パルスオキシメーターを加えて厚生労働省などに、福祉政策に対する要望書を提出したということです。ホットの会も、平成11年から県と福岡・北九州両市に難病連の陳情活動とともに、日常生活用具に追加して購入費の助成を要望しています。
なお、要望を実現するためには単に全国組織や「ホットの会」のような組織だけに頼るのではなく、酸素濃縮器の電気代の助成が志免町や大野城市で実現できたように、各市町村の有志の方がそれぞれの行政当局や議会に働きかけることも必要ではないかと思います。
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 8.ホットの会員アンケートに寄せられた意見と感想
今年4月のホット誌第59号に、平成13年度のアンケート調査の結果を掲載しました。内容は8ページから18ページにわたっております。アンケートの回答者は171人で、そのうち114人から意見と感想が寄せられました。編集部で重複等を整理し、まとめて紹介しております。
ここでは、それをさらに要約して以下の3種類に整理しました。
  (1)ホット誌とホットの会にについての意見、感想
  (2)個人として、また社会への希望、要望
  (3)療養者としての人生観、感想
(1)ホット誌と、ホットの会について
情報の交換、人との繋がりが在宅酸素を始めて一層大事になった。(33歳女性)

会報の送付を心待ちするようになった。呼吸不全の知識と対策、バスハイク、行政からの援助など、いずれも大変なことばかり。会の発展を祈る。(72歳男性)

病気が長くなり外出が出来ないので、ホット誌の届くのが楽しみ。目が悪いので人に読んでもらっている。病は辛いので面白いことなど沢山載せて。(49歳女性)

病人の生き甲斐、希望、安らぎの為、会は絶対必要。現三役も若くないので世話できる後継者の参加を切望する。(71歳男性)

会報を何時もとても頼りにしている。しかし56号の薬の話では、私の病気に関することが何も載っていなかった。いつも情報が欲しい。(55歳女性)

入会して月一回の呼吸器教室で友人関係が親密になれて良かった。(74歳男性)

新規の入会を推進し会員を増やさないと、会の活動が難しくなる。(68歳女性)

自分と同じ位の病状の人や、それ以上に苦しい人達も幹事として明るく行動し会を援けていることが分り、元気づけられた。(69歳男性)

とても参考になるのでいつも着くのを待っています。(69歳女性)

もっと早く入会させて貰っていたらと残念。(76歳男性)

7年前に亡くなった夫が会に入会していて、自分も喘息があるので、ホット誌だけ購読している。(74歳女性)

会報の中の体験談などが大変参考になる。(81歳男性)

図解入りで解りやすい。私にとってはもう一人の先生です。(56歳女性)
(2)個人・社会への希望、要望について
パソコンを習いたいと思っています。バスハイクが楽しみです。(64歳女性)

パルスオキシメーターなどの器具を安く購入できればいいのですが。その最新情報を期待しています。(54歳男性)
※パルスオキシメーターについては、6名の方からおなじ要望がありました。

故田中康介氏が提案された『呼吸器障害者にパソコンを』に賛成。本人が持っていなくても家庭にあればそれを利用できるし、情報を自由に何時でも取得できる。家族に教えてもらえたら一番好いのですが・・(69歳男性)

横向きに寝る時に都合が好いと思うので、一穴式のカニューラが欲しい。何処で求められるか知りたいです。(69歳女性)※テイジンで取り扱っています。

酸素濃縮器を毎日使用しています。電気料金の補助については全国レベルで実施していきたい。市町村単位での実施は納得出来ない。(72歳男性)

酸素濃縮器の排気ダクト工事を、6月にテイジンさんにしてもらったら、部屋の温度が昨年に比べ上がらず、助かりました。(77歳男性)

パソコン、インターネットに熱中しているが、年寄りには無理なところもあるがこれからも習って行きたい。(78歳男性)
(3)療養者としての人生観、感想など
自分の病気のこともあるが、当面、同居の母の介護で大変です。母と共倒れの心配をしながら今の母との生活を大切にしたい。将来的にはわが身のことも不安です。メール友達を紹介してもらったが、時間がない。(33歳女性)

病名を隠す人がいるが自分はしない。会に感謝し協力したい。(81歳男性)

残った機能を充分に生かして、出来ることを見つけ愉しく明るく生きて行きたいと思っています。その意味でホットの会、とても心強く頼りにしております。これからも宜しくお願いします。(71歳女性)

会員の交流がもっと判れば何らかの生き甲斐になるのではないか。(74歳男性)

入院した時の切ない気持ちを思い在宅療養生活が出来るように、日頃の健康管理に注意している。ホットの会員の皆様に感謝しております。(76歳女性)
アンケートの回答をされたのは33歳から88歳までの幅広い年齢層。その中からの意見や感想ですが、まだ思いはあれども書き尽くせない、といった方もおられるようです。この回答を踏まえてより交流を深めていって、『ちょっと動いても息苦しい呼吸不全患者の、生活の質(Q.O.L.)の向上』に役立つ会として更に発展して行きたいと思っております。皆様のご協力をお願いします。
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