◇特発性間質性肺炎―特定疾患の基準◇ (抜粋) |
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―はじめに― |
この資料は平成13年3月、疾病対策研究会が編集し、六法出版社から発行された「難病の診断と治療方針」の抜粋です。
この本には『「難病の診断と治療指針」の大改定に寄せて』と題して、概略次のような厚生労働省健康局疾病対策課長の序文が掲載されています。
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平成13年度より、各疾患ごとの臨床調査個人票が各都道府県において電子化されることになり、これに合せて、より明確に臨床調査個人票への記載容量を示すことが求められることから、今般、私どもの厚生労働省健康局疾病対策研究事業としても全面的に協力させていただいた。そうした意味では、最新の知見を盛り込んだ大幅な改訂版が上枠されたといえよう。 |
そもそも特定疾患(いわゆる難病)対策事業は、非制度的補助金と呼ばれ、拠って立つ法律のない単年度予算である。したがって、担当課長としては、毎年この事業の予算確保に悩まされるのが現実である。というのも、昨今の国の財政事情により、非制度的補助金については、毎年一律に10%の削減が要求されるのである。 |
一方、事業の対象者は毎年増え続け、治療研究事業(いわゆる医療費の負担においては、金額的には毎年7〜8%の伸びがある。この自然増と10%削減の両方を吸収する案がないものかと日夜考えているが、いまのところ八方が丸く収まるような妙手のないところが辛いところである。
―以下省略― |
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1.特発性間質性肺炎の診断基準 |
特発性間質性肺炎の臨床的診断基準 |
厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班
(第三次改訂案) <1991年> |
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まず急性経過(急性型)か慢性経過(慢性型)かを考慮し慢性型の場合には表2のA群(定例型),B群(非定例型)の臨床的特徴を参考とし、以下の項目にそって診断を進める。 |
(1) |
主要症状及び理学所見 |
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1.乾性咳嗽 |
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2.息切れ |
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3.ばち指 |
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4.捻髪音(fine crackle) |
(2) |
血液・免疫学的所見 |
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1.赤沈亢進 |
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2.LDH上昇 |
(3) |
肺機能検査 |
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1.肺気量の減少 |
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2.肺拡散能力の低下 |
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3.低酸素血症(PaO2の低下、A-aDo2の開大) |
(4) |
胸部X線所見 |
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特発性間質性肺炎に一致するX線像(表3) |
(5) |
生検病理検査所見
(開胸肺生検又は胸腔鏡下肺生検による) |
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特発性間質性肺炎に一致する病理像(表4,5) |
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【項目の判定】 |
(1),(3)大項目については2項目以上を満たす場合を陽性とする。 |
(2)大項目については1項目以上を満たす場合を陽性とする。 |
大項目(3)の各項目については( )内の検査所見が1つ以上満たす場合を陽性とする。 |
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【診断の判定】 |
下記(注5)にあげる疾患を除外し、大項目が(4)を含む3項目以上陽性の場合、又は、大項目(4)及び(5)が共に陽性の場合を特発性間質性肺炎と診断する。 |
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注1) |
特発性問質性肺炎は粉じん吸入歴者が多いがこの場合じん肺法の定めるじん肺症でないことに注意する。 |
注2) |
原病の身体的所見及び検査所見を伴うものは膠原病肺として特発性間質性肺炎から除外する。 |
注3) |
経気管支的肺生検ならびに気管支肺胞洗浄液検査は特発性間質性肺炎における診断的価値は低い。しかし、他疾患の除外診断に経気管支的肺生検ならびに気管支肺胞洗浄液検査はしばしば有用である。 |
注4) |
Gaシンチグラムは診断特異性を有しないが、病勢の判定に役立つ。 |
注5) |
次の疾患を除外する。膠原病肺、じん肺症、肺結核、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、過敏性肺炎、放射線肺炎、薬剤誘起性肺炎、肺炎(特にウイルス、マイコプラズマ性肺炎など) |
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5.重症度分類 |
(表7) |
1度 |
安静時PaO280Torr以上 |
2度 |
安静時PaO279〜70Torr |
3度 |
安静時PaO269〜60Torr |
4度 |
安静時PaO259Torr以下 |
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注)動脈血酸素分圧は、安静時に室内気を呼吸している状態で測定する。
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6.特発性間質性肺炎の急性増悪 |
(1)定義 |
X線に両側性スリガラス影・浸潤影の出現や増加及び動脈血酸素分圧の有意な低下のすべてがみられる場合を「急性増悪」とする。明らかな肺感染症や心不全を除外する。 |
(2)参考意見 |
1.CRP、LDHの上昇が見られることが多い |
2.胸部CTでは、スリガラス影・浸潤影の確認ばかりではなく、分布や広がりを知ることができる。
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7.特定疾患治療研究事業の対象範囲 |
1.診断基準により特発性間質性肺炎と診断された者のうち、(表7)の重症度分類の3、4度の者を対象とする。 |
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