◇ 平成16年度 ホットの会 医療講演会 ◇(2004.6.25)
「介護保険と障害福祉の利用」
◇ 目  次 ◇
 はじめに
 [1] 介護保険の制度について
  「介護保険のしくみ」
  「保険料」
  「要介護認定」
 [2] 介護保険のサービスについて
  <各事業者との契約>
  <介護サービスの利用>
  <介護サービス計画の作成>
  <ケアプランとは?>
  <よく受ける質問>
 [3] 障害者福祉制度の利用について
 1.社会保険制度と社会福祉制度
 2.身体障害者手帳と呼吸不全
  その他の福祉サービス
《質疑応答》
 おわりに

 はじめに
今日はご案内しましたように、これから皆さん利用の割合が高くなるだろう介護保険と障害福祉について理解を深めていただくために、介護保険については制度の仕組みを、福岡市介護保険課の今林秀明保険給付係長に、サービスについて帝人関連の博多みずほ訪問看護ステーションの東川みどり所長にケアマネージャーの立場から、そして、障害福祉については会報ホットを編集するために情報を集めている私が話題を提供して、質疑応答するシンポジゥーム方式で進めることにします。よろしくお願いします。

[1] 介護保険の制度について
福岡市保険福祉局高齢者部介護保険課
保険給付係長  今林秀明
皆様こんにちは、福岡市の介護保険課の保険給付係今林です。本日は「呼吸不全友の会」の講習会の方に呼ばれまして、どんな講習ができるか、私の方は市役所の人間ですから人前でこうやってお話しする機会があまりございません。うまくしゃべれるかどうかというのもありますし、質問を受けて上手にお答えできるかといこともあります。それで質問にお答えできない分については、持ち帰りましてまた改めてお答えすることにいたします。今日は大隈会長の方から「介護保険」の主に制度の仕組みなどを話して欲しいということですので、15分ぐらいでお話したいと思います。

「介護保険のしくみ」
私が今日用意しましたのは福岡市が出しております「介護保険べんり帳」です。これに沿って2ページからご説明をしていきたいと思います。
介護保険制度は、平成12年度に創設されましたけれども、この方式は社会保険制度という形をとっています。社会保険制度というのは負担と給付が明確になっているということです。今は、国民健康保険とか雇用保険とかいろんな社会保険制度がありますが、介護保険はどんな制度かというと、サービスを使って1割負担を払う。使う分は使って結構です、だけど給付を受けたら応分の負担をしてくださいよ、という制度です。そういうものですので、皆さんが使えば使うほど1割負担も保険料も高くなっていきます。
では高くなることがいいのか悪いのかという話になろうかと思うのですが、やっぱりこれは皆さんが必要なサービスとして受けられることが1番大事です。その結果保険料が上がる、もしくは1割負担が上がった場合に負担ができるかということはちょっと置いといて、やっぱり適切なサービスができるようにすべきではないかということを考えています。
その負担の分については例えば高額サービス制度ということで、ひと月にかかる費用(1割負担)がかなり高額になったというときには、一般の方でその月37,200円、世帯の非課税の方で24,600円、老齢年金の方は15,000円、ひと世帯あたりそれ以上の費用はとりませんというような制度もあり、負担をする側にもある程度の緩和を求めているということでございます。
この制度の円筒の図(真上)を見てわかると思うんですが、半分はいわゆる公費、税金等で補助される部分です。ですから介護保険の半分は国の税金、もしくは県の税金、市の税金でまかなわれています。残りの半分について、40歳以上から64歳までの方が32%、65歳以上の方が18%というような負担の割合になっています。それで半分以上は公費で賄われていますので、使えば増える保険料の割り増しという皆さんへの影響もかなり低く抑えられています。
今、介護保険の対象は何歳からかというと、40歳からとなっています。だけど本来的には高齢者の介護保険になっているので、だいたい65歳以上の方がメインになります。時々大隈会長ともお話ししますが、障害者支援費制度との統合の話が平成18年度に向けて、今、国の方で話し合いがあっています。現在は高齢者の介護保険という形ですけれども、支援費制度もしくは年齢を下げるという形になってきますと、今検討されているのは20歳ぐらいでしょうか30歳ぐらいでしょうか、そういうふうになってくると、高齢者の介護保険というよりも、これは国民全体の介護保険に代わるんじゃないかなと思います。
だから、40歳から64歳までの方で今受けられるのは特定疾病15 疾病にかかっている方、皆さんの中でいえば慢性閉塞性肺疾患が該当するんですけれども、老化に起因するような疾病でないと今は受けられないということになっていますが、もしかすると制度が改正になって障害を持つ方、並びに若年でも介護を要する方、たとえは交通事故にあわれて障害を持つ方、介護保険を受けられないような疾病の方もいらっしゃると聞いておりますのでそういった方々についても介護保険が適用になる可能性があるのかなというふうに個人的に思っているところでございますので、これは、政府の行方を見ていかないと分からないところでありますが、そういった形のものが議論されております。
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「保険料」
保険料のことで触れておきますが、保険料も負担できる方とできない方といろいろいらっしゃると思います。保険料については所得段階で5段階を設けまして、普通は第3段階基準の保険料で福岡市の場合43,028円、月額に直すとおよそ3,500円になっております。この金額が基本になります。そして一番低い方はこの半分、一番高い方は1.5倍となるような保険料の設定です。
ちなみに福岡市は全国でどのくらい保険料が高いかというと、最初介護保険が出来たときの平成12年には、政令市では一番高かったのが大阪市で、福岡は二番で3,290円でした。全国平均は2,900円ぐらいでしたので、全国平均よりも高い、政令市の中でも高いという状態でした。それが今回平成16年度から保険料が変わります。7月15日ぐらいまでには65歳以上の方には保険料の新しい通知がきますが、若干高くなっています。3,290円が3,500円にあがりますが、全国の政令市で一番高いのは広島、京都。福岡は五番目ぐらいでちょうど真ん中ぐらいになります。みなさんが一所懸命保険料のことを考えて、適正になったのかなと思っています。
もともと保険料と介護保険は、西高東低の傾向があり、西の方が介護保険の認定者の数も多いようです。東日本は利用が少ないようで、医療面でも例えば病院の数とかも同じ様なことが言えるようです。
介護保険の保険料が減免されることがあります。これは去年の7月からですが、もし「保険料がどうしても高くて払えないな」という方は、ご自分の経済状況から見て払えない、特に世帯非課税の方でちょっと払えない方については第1段階(保険料を半分)にする制度があります。これは要件が載っている方が対象になりますので、福祉介護保険課にご相談下さい。
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「要介護認定」
これから「介護保険」の流れについて詳しく説明させていただきます。介護保険は(1)から(7)までありますが、(1)「申請」から(7)「サービスの開始」まで7段階を踏まないと介護保険を受けられないことになります。
まず(1)「申請」ということでありますが、皆さん、どうしたら「申請」できるのかわからないという方が多いと思います。今日、私の説明を聞いて「介護保険を受けたい」「受けられるんじゃないかなと思うんだが」という方は区役所の介護保険課に行って、申請をしてください。だけど、高齢者の中には介護なのか高齢の相談なのかよくわからない、という方がいらっしゃると思います。最初はどんなことを相談していいのか悩まれると思うんです。そういう方は「在宅ケア・ホットライン」というのがございますので、まずこちらのほうに、今のお気持ちやどんなふうになっているのかなどを相談していただくといいのかなと思います。
「在宅ケア・ホットライン」は『介護保険べんり帳』の38〜39ページに載っております。各区満遍なく置くようにしておりますので「在宅ケア・ホットライン」は基幹型ということで区役所の中と、できるだけ多くということで地域型といいまして各区に2つから4つあります。これは、地域で相談を受けられるというものです。どちらで相談されても構いませんが、地域に上がったものが区役所のホットラインに集約されて調整していく、そこから相談内容によっては介護保険のこと、地域のこと、介護保険外のことになってくるかなと思います。
そこで「申請」に至る経緯がどんな形であれ、ホットラインに相談する、介護保険課に相談する、などで(1)「申請」が終わったとします。そうすると(2)の段階「訪問調査」という形で、実際に、皆さんの生活状況を調査員が確かめにきます。調査の項目は決まった質問79項目をお聞きして、どれに該当しているかということを判断します。それから(3)の「主治医の意見書」を必ず出して頂きます。主治医がいらっしゃらない場合は「ホットライン」などに相談していただければ、主治医のご紹介などもすると思います。そこで、(2)と(3)の調査の結果をもとに、(4)の「介護認定審査会」という審査をする段階になります。ここでは医療関係、福祉関係、保健関係の方々が審査会の中で、この方に適切な介護度は何度かということを判断します。その結果が(5)「要介護認定」というかたちになります。
この「要介護認定」には、「要支援」から「要介護5」まで6段階あります。「要支援」が社会的支援を要する状態、一番重い「要介護5」の状態が最重度の介護を要する状態、こういう形の区分で結果が出ます。この結果に基づいてどのくらいのサービスが使えるか金額も書いてありますので、18ページと26ページを見て下さい。「要支援」に該当された方は1ヶ月に約62,900円、「要介護5」になりますと368,900円までです。実際は1割負担ですから、本人の負担は要支援の方で1ヶ月6,000円ちょっと、「要介護5」の方で36,000円ぐらいの負担になります。「要介護5」の36,000円ぐらいの負担についても「高額サービス」というのがございますので、利用者負担の世帯合計の上限額がこの基準に該当すれば、24,600円、15,000円と、それぞれの所得に応じて判断されます。
私の方の説明はここまでにして、この後の「ケアプランの作成」等については、その担当のかたに替わります。最後に、介護保険では「ケアマネージャー」と言う方がいらっしゃいますが、ケアマネージャーは介護保険の要だと言われています。なぜ要かと言いますと、介護保険になって措置から契約に変わり、事業者と利用者は対等の立場になりましたが、介護保険ではどうしても高齢者は弱者ですから、ケアマネージャーは事業者との橋渡しをきちんとしていただく一番重要な役割です。
ケアマネージャーは、利用者の生活状況を把握して「ケアカンファレンス」(介護相談)の形で聞いて、利用者がどんな状況になっているかを「アセスメント」いわゆる「課題」として、この方に適切な介護保険はなんであるか、それからこの方に介護保険以外でどんなサービスがあるか、たとえば障害者のサービスもございますし、健康づくりのサービスもございます。
そういうサービスもいれて、それから地域でもいろんなサービスがあっていますから、地域の活動にも参加してうまくやっていけるか、そういうことも含めた、その方にとって一番適切な状況の生活環境の状態を保てるようにサービスを調整し、総合的に立体的にその方の介護保険ではケアマネージャーの役割は、大事ですし、ケマネージャーの存在は心強いものになると思います。そういう形の中でケアプランをたてて、どんなサービスを受けたらよいかということをこれから説明していただけると思います。
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[2] 介護保険のサービスについて
博多みずほ訪問看護ステーション
所長  東川みどり
皆さんこんにちは、私は訪問看護ステーションで訪問看護をしているんですけれども、併設しているところにケアプランテーションというのがあって、ケアマネージャーがいまして、介護保険のサービスを利用するお手伝いをしています。私はケアマネージャーもしていますので、今日はケアマネージャーとしてお話をさせていただきます。
先ほど、市の方からケアマネージャーは介護保険の要石だといわれてチョット緊張したんですけれども、できれば最初の申請の段階からお手伝いをいたしまして、一番重要なことは利用者が必要なサービスを受けられるようにするのが私たちの役割です。
べんり帳のなかから大事なとこだけを抜き出して資料を用意しました。詳しくは、お帰りになってべんり帳をご覧頂きたいと思います。

<各事業者との契約>
ここに絵がありまして、真ん中に、ご本人とご家族が居られまして、その廻りにサービスのそれぞれの事業者がおります。
例えば訪問看護があったり訪問介護ヘルパーさんですね、ヘルパーさんに来てもらったり、それから福祉用具のレンタル、呼吸器の方は多いのですけれども介護用のベッドを借りたり、何処かへ行ってリハビリをする通所リハビリなどがあります。
ケアマネージャーを含めて契約、契約、けいやくとイヤになるくらい契約とありますけれども、これは、それぞれ別の事業所になりますので、それぞれに契約を交わさないといけないのです。これが非常にややこしいところですし、書類が沢山必要になります。
ご利用者の横にバインダーを持った女の人の絵が描いてありますけれども、ケアマネージャーに関しても契約をします。ですから、認定を受けますと、市から、福岡市内にはケアマネージャーのいる事業所がところにありますよとか、具体的に事業所の住所や名称などを教えてくれます。その中から選ばれてもいいし、お友達から聞いて受けられてもいいです。役所の方が決めるものではありません。
介護保険を利用する場合、1割負担が原則ですが、ケアマネージャーに関しては全部介護保険から出ますので、利用者の負担はありません。もっともこれは、1ヵ月いくら、8,000円一寸というふうに決まっていまして、調整に何回足を運んでも、それ以上金額が増えると言うことはありません。
ケアプランのお金については介護保険から全て出ます。ただ、契約が必要だと言うことですし、契約が済んでからいろいろ行うわけです。
上の方の訪問看護の右の方の医師というのが線で結ばれないまま、別枠で囲まれています。訪問看護につきましては、これは医療ですので、介護保険という介護の枠組みの中に入っていますげれども、介護保険は福祉のサービスと医療とが一緒になったもので、訪問看護につきましては介護保険の中で行う場合でも必ず先生の指示が要ります。
それは口頭の、「看護に行っていいよ」という指示ではなく、きちっと文面で、書類で、「どういう病気で、どういうところに注意をして下さい」と書かれた書類が必要になります。
そして訪問看護した場合には「その方の病状はどうでした」というのを月に1回は報告をしなければいけないということになっているのです。そこだけがほかのサービスと違うところですね。
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<介護サービスの利用>
次に、下の表に示しているように、介護保険には要支援から要介護5までありますけれども、それぞれ、使えるサービスの上限が決まっております。これは例えば自分が要支援になったからと云って、この金額62,900円を全部使わないといけないというわけではないのです。最大限使って介護保険が使えるのはここまでですということです。
だから、ケアマネージャーはこれを超えないようにケアプランを組みます。超えてもいいと云われれば超えるようにしますけれども、大体、超えないように作って、どうでしょうかとお尋ねしてサービスを行うことになります。
*要介護度別に利用できる上限額(支給限度額)が決まっています。
自己負担は原則として1割です。 

<介護サービス計画の作成>
居宅介護事業者というのがありますけれども、居宅介護事業者というのは私たちのようなケアマネージャーが所属しているところです。
これは、ケアマネージャーの仕事を行っていいですよと、ちゃんと県に指定を受けた事業者でケアマネージャーは一寸硬い言葉で云いますと介護支援専門員と云います。
居宅介護事業者に所属する介護支援専門員(ケアマネージャー)に依頼して、個人個人の心身や生活の状況に合った介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
これについては先ほど市役所の方から説明していただきましたけれども、いろいろ話を聞いて問題点を把握して、必ず、ご本人ご家族の同意を得て、こういうことでいいですか。例えば週3回のヘルパーさんでいいですか、自己負担はこのくらいになりますよとと云うことを、必ず、事前に確認をしてケアプランを進めます。
その時にものすごく悩まれる方があるんですよ。いま調子が悪いんだけども何れ調子がよくなるだろうからどうしよう、と悩まれる方があるんですけれども、途中で変更が出来ますので大丈夫です。2回、3回来て貰っていたけれど、調子がよくなったから来週から1回でいいわ、ということも可能です。
それから、変わりなくサービスがいっている場合でも、必ず、月末あたりに1回は訪問をさせていただいて、「介護保険のサービスは順調にいっていますでしょうか、何か問題はないですか、と必ず、お家の方にお伺いいたします。そして、直接お話をお伺いして、来月はどういうサービスにいたしましょうか、と相談しますので、あまり最初に「春になったら調子が悪いし、冬場は何とかなるけど」と、考えなくてもいいのです。下にいっぱい月曜日から日曜日までのスケジュールが書いてあります。
こんなに一杯サービスを受けられる方は余りいらっしゃらないのですけれども、例えば何曜日の午前中にヘルパーさんが来て、訪問看護は週に2回とか、途中に何処に行ってリハビリを受けるとか、こういうふうなスケジュールを作ります。このスケジュールだけがケアプランではないのです。
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<ケアプランとは?>
ケアプランとは、曜日や時間のスケジュールだけではなく、その方がどんなふうな家での生活を希望していらっしゃるから、どんなふうに、例えば、長く在宅できるように、いろんな社会資源を使って、ご家族の負担を軽くして生活していきましょうとか、段々よくなっていく傾向があるので、自立していかれるようにリハビリを増やしましょうとか、そういう方向性についてもきちんと文書で書いて、利用者の方とご家族に示したものをケアプランと云います。
詳しくは「べんり帳」に載っておりますけれども、ここに大まかに述べておきます。
訪問介護(ホームヘルプ)
ヘルパーさんが来られるのですね。ヘルパーさんがされる仕事は、大きく分けて2種類あります。1つはお料理をしたり、お掃除をしたり、買い物をしたり、普通云う家事ですね。生活そのものを援助させていただく、昔は家事援助と云っていたのですけれども、今は、生活援助と云います。それともう1つは、身体を拭いたり、お手洗いに行く時にお手伝いをしたり、身体に直接触れてお手伝いをする身体介護といわれるものがあります。
訪問入浴介護
入浴車が来て、折りたたみのお風呂を持って来てお湯をはって、大体2人とか3人いらっしゃることが多いようです。
訪問看護
訪問看護では病状を観察したり在宅のし方についてアドバイスをさせていただいたり、また、訪問看護の中でも体を拭いたりお風呂のお世話をしたりもします。そうすると、身体介護はヘルパーさんも出来るし、訪問看護師さんも出来るわけですね。どちらに頼んだ方がいいのかなぁというのは、その方の病状、どのくらいに医療的なことが必要かということで、ご本人ご家族と話し合って決めることです。
 例えば、酸素吸入している方だったら、とっても息切れがして酸素が下がるという時だけ看護師さんがする。安定してきたらヘルパーさんがやるということも出来るわけですね。
通院等のための乗車又は降車の介助について
ヘルパーさんの資格を持っているタクシーの運転手に、乗車又は降車の手伝いをしてもらうもので、要支援の方は使えません。タクシー代は別です。タクシー会社によって料金をサービスしているところはあるようです。
訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士がご自宅にお出でになってリハビリをします。
通所リハビリテーション(デイケア)
通所介護(デイサービス)
デイサービスセンターに行ってお食事をしたり、趣味の稽古事をしたり、お風呂に入ったり身の回りのことをすることをデイサービスと云います。
福祉用具の貸与  ※「資料集」に具体的に載せております。
福祉用具のレンタルですね。酸素の方で一番よく借りられるのは介護用ベッドです。息切れがある時なんかに自動で頭のところが上がって、床のお布団から立ち上がるよりも、ベッドに腰掛けた状態から立ち上がった方が楽ですから、ベッドを借りられる方が多いです。
短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)
ショートステイと云って短期間入院する制度もあります。
それから、これは載っていないのですけれども住宅改修といって、20万円まで借りられる制度があります。1割の自己負担で20万円の範囲内で、住宅の段差ですとか階段のところに手すりをつけたりとかということも出来ます。
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<よく受ける質問>
最後に、よく受ける質問を上げていますが主なところを説明します。
☆病気の重症度と要介護度は違いますか?
違います。介護が必要となるのは病気だけでなく、老化による筋肉の衰えなどさまざまな場合があります。障害1級だからといって要介護度が高いわけではありません。
☆慢性呼吸器障害のような内部疾患は要介護度が低く出ると聞いたのですが?
麻痺等と違って第3者からはわかりにくい面がある事があります。.息苦しさによって身の回りのどのような事が困難か具体的に伝えましょう。たとえば、「トイレには歩いて行けるが、呼吸困難があるので酸素をしながら休み休み時間をかけて行く。」など
☆その時の息苦しさによって身の回りの事がどれ位できるかは違うのですが、認定調査ではどう答えれば良いのですか?
どの程度できるかは頻度が多い方を答えますが、介助を受ける頻度についてもできるだけ具体的に答えます。
たとえば、「トイレには自分で行くことが多いが、週に1〜2日は呼吸困難が強く尿器にて行っている。」など
<その他>
介護保険は65歳以上が対象ですが、40歳以上の場合でも定められた特別の疾病ではサービスを受けることができ、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)はその対象です。
通常介護保険サービス利用中の場合は訪問看護も介護保険の適応になりますが、定めれた特別の疾患や状態では、介護保険と併用して医療保険が利用できます。
人工呼吸器使用中の状態はその対象で鼻マスク人工呼吸器も含まれます。
介護保険で訪問看護を利用する場合は障害者医療証は使用できません。障害1級の方も自己負担が生じます。しかし、特定疾患医療証をお持ちの方は、訪問看護の自己負担が免除されます。
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[3] 障害者福祉制度の利用について
呼吸不全友の会々長  大隈 辿
用意しました資料の右上に、生老病死しょうろうびょうしと書いていますが、生まれること、老いること、病むことと死ぬことは人の力ではどうにもならないことです。私たち同じ呼吸器を病む仲間として、医療その他の情報を交換しながら生きていけたらいいなぁと思っています。

1.社会保険制度と社会福祉制度
社会保険制度については、始めに市の今林係長さんも言われましたが、国民の生活を保障するために保険料の支払いを条件に、保険の給付をおこなう制度です。保険料の支払いを「拠出」といい、保険事故が起きた時に保険の「給付」を受けられる人を「被保険者」と云います。
(1) 医療保険‥国民健康保険法
(2) 年金保険‥国民年金、厚生年金、共済年金
(3) 雇用保険
(4) 労働者災害補償保険(労災保険)
(5) 介護保険
年金などの(2)(3)(4)は現金を給付されますので「現金給付」といい、医療保険等は医療行為やサービスを受けるので「現物給付」といいます。
次に、社会福祉制度とは、生活困窮者、高齢者や障害をもつている人が円滑に社会生活ができるように、各種のサービスを提供します。公的扶助や社会福祉は、公費(税)によって運営されています。
・ 生活保護‥生活保護法
・ 児童福祉‥児童福祉法
・ 母子及び寡婦‥母子及び寡婦福祉法
・ 身体障害者‥身体障害者福祉法→【支援費制度】
2つの制度を比較しますと、社会保険制度は自分が拠出した保険料に対しての給付であるために、何の抵抗もなく利用されるのですが、社会福祉制度は税金によって運営されているため、生活保護にしても障害者福祉にしても、何となく、国から恵みを受ける社会的弱者になったようで、なるだけ給付を受けず自立したいと考える人が多かったと思います。
しかし、私たちは戦後日本の復興のために働きました。不幸にも慢性の難病になったのですから、国が用意した障害者福祉制度を理解して、素直に受け入れて、充実した質の高い毎日を送るために活用しましょう。
福岡市保健福祉局に身体障害者の障害種類別の患者数をお尋ねしたところ、今年3月末日現在、38,000人余りで、現在、福岡市の人口は約130万人ですから、人口比では約3%になります。そのうち、内部障害者は黒く網掛けをしていますが、心臓や腎臓、呼吸器などを併せて約1万人。呼吸器機能障害者は790人、18歳未満を含めると802人になります。
(各疾病とも18歳以上の患者数を示す) 
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2.身体障害者手帳と呼吸不全
身体障害者手帳は身体障害者福祉法で定められた障害の程度に応じて交付されます。呼吸器は内部障害で1級と3、4級だけで2級がありません。※
呼吸器身体障害者の等級は動脈血の酸素分圧と指数の数値によって決められますが、この数値は病状によって変化しますし、等級は一度決まったらず〜っと、そのまま替えられないというものではありません。
また、先生から「あなたは酸素が下がっているから障害者手帳の等級の変更を申請したらどうですか」というようなことを教えられることはありません。それで、自分から最近、体の調子が悪くなって酸素が下がっているようだと思われたら、先生に測ってもらって、変更の手続きをして下さい。
以下の6項目については「呼吸不全と身体障害者手帳」のページに 既に詳しく載せておりますので、是非 こちらをご参照下さい。
  身体障害者手帳の 障害の種類と等級
  呼吸器の障害等級は どうやって決まる?
  呼吸器身体障害者の等級別認定基準は?
  手帳の交付申請をするには?
  手帳が交付されると?
  呼吸器障害者に適用される日常生活用具の給付
※ 呼吸器障害2級はどうして決まるのでしょう?
呼吸器障害手帳3級と他の障害者手帳を持っている方を、指数計算で判定されます。障害2級を11点、3級を7点、4級=4点、5級=2点、6級=1点として、呼吸器障害3級の7点に他の障害の点数を加えて、合計が11点以上になれば呼吸器障害2級になります。(1級は18点)
これ等の給付の中で私が利用して助かっているのは、「駐車禁止指定除外車証」で、目的地近くの車の邪魔にならないように止めています。
福岡市の区別等級別呼吸器障害者数を示していますが、この表に見られるように、1級の人が約3割、3級の人が4割です。
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ホットの会 が勧めるその他の障害福祉サービス
65歳以上の高齢者であれば障害者手帳、介護認定がなくても福岡市が用意している高齢者福祉サービスに、次のようなものがあります。各区の福祉介護保険課や在宅ケア・ホットラインにご相談下さい。
まごころランチ(配食サービス)
独居又は夫婦所帯でも自力で食事の用意ができない所帯で、市が必要と認めた場合は、昼食を有償(一食450円)で、各区のシルバー人材センターに委託して配食サービスします。
家事援助サービス
虚弱などのため生活支援が必要な高齢者に、市が委託しているサービス事業者より家事サービスを提供します。生活保護所帯以外は有償で1時間当たり215円から2,154円です。
生活支援ショートステイ
家族が急な理由で数日間留守をする場合などに虚弱のため家出の生活に支障をきたす高齢者がいるときは、特別養護老人ホームのショートステイが利用できます。利用料は1日2,700円+食費などの実費。対象者は65歳以上の介護保険適用外の方。年間30日まで。
福岡市シルバー人材センター
年を取って社会の第一線からは引退したものの、まだ、元気で社会参加を生き甲斐に活動をしている方たちの集団がシルバー人材センターです。福岡市内の各区にあります。
現役時代の専門技術を活かした大工や左官、庭の手入れ、掃除洗濯などの家事から話し相手まで、ご希望に応じた人材を派遣してくれます。有料で、家事手伝いや草取りが1時間770円からですが、センターでは1回の作業時間を最低2時間に設定し、交通費440円を加算しますので 1,980円になります。介護保険制度ができてから仕事の依頼が少なくなったと聞きました。作業内容を考えて頼むといいでしょう。
   ☆福岡市シルバー人材センター 
博多区千代1丁目21-16 TEL:092-643-8200
 中央支部:713-4680  南支部:551-4680
 博多支部:633-4680  東支部:663-4680
 早良支部:821-4680  西支部:881-4680
 城南支部:731-4680 ----
患者会活動
慢性難病の療養には、患者会の果たす役割も大きいと言われています。特に、最近の高齢化と医療費の増大対策として国では、国立療養所などを独立行政法人化して、従来の政策医療から独立採算制の企業的な病院への組織改革を進めていまして、儲からない病院は淘汰されていくということで、危機意識が強くなっていますし、私たちも意識改革が必要です。
そこで、ホットの会では国立病院機構福岡病院の西間院長と話し合って、5月中旬の午後5時から、病院の医師・看護スタッフと患者会との意見交換会を行いましたし、これからも続けることで合意しています。
また、日本呼吸器学会が社団法人になったことで、昨年の11月、全国の患者団体の出席旅費を学会が負担して、学会と患者会の円卓会議が行われ、会からも役員に参加してもらいました。
これからは「日本呼吸器疾患患者団体連合会」を組織して、毎年、学会との会合を持って、厚生労働省への働きかけをしたり、患者実態のアンケート調査をして、今後の活動方向を協議しようということになっています。どうぞ、まだ会に入っていない皆さんの入会をお願いします。
次に、介護福祉士の会員のかたから教えていただいた幾つかを示しました。参考にして下さい。特に、自動車税については、家族(患者)を送迎する自動車も対象になることは知りませんでした。何れも知っていると役に立つ事項です。
「障害福祉と介護保険」と付録の「資料集」(別ウィンドウ)にも関係情報を掲載しております。どうぞ御覧下さい。
★ネブライザー・酸素ボンベ運搬車・電気式たん吸引機は一度に貰えないの?
障害福祉の日常生活用具は基本的に年1品目です。ただし、今までに1度も日常生活用具の給付を受けていない方は、この3つに限って例外として同時給付が可能です。申請後、認可がおりての購入になりますので注意してください。世帯の所得税額に応じた自己負担があります。

★本人は自動車を持っていないけど家族所有の自動車税は?
内部機能障害3級以上の方は申請すれば自動車税・自動車取得税は減免されます。ただし、障害者と生計を同じくする者が運転する場合で、障害者の通院・通学・通園等に使用する場合に限ります。
申請方法は下記の書類をもって各所轄の県税事務所に行ってください。
1.身体障害者手帳
2.免許証      1.2.3.の現住所が一致していること
3.車検証           
4.認印
5.住民票(家族全員で続柄記載のもの)
6.通院・通学・通園証明書
※通院証明書には病名・通院開始日・1月の通院回数(最低月1回)等記載したものを病院から発行してもらう

★ 日ごろの生活で在宅サービスは必要ないけど、お風呂場の椅子や簡易手すりだけ購入したい・・
1年度(4月〜3月末迄)に購入費用10万円を上限額とし給付されます。
・ 介護保険福祉用具購入費支給申請書(各区・福祉・介護保険課にあり)
・ 領収書
・ 購入商品がわかるパンフレットのコピー等
・ 給付金の振込先口座の控え(本人名義の銀行口座)
・ 印かん(認印可)
・ 被保険者証   ※介護保険は1割負担です。
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《質疑応答》
Q1:ケアマネージャーは各地におられますが、各病気に専門のケアマネージャーという方がおられるのですか?
東川:どの病気の専門ということは気にしない方がいいと思います。私は資格が看護師でケアマネージャーですけれども、介護をされていてケアマネージャーをされていたりとか、いろんな職種の方が、医療施設に働かれた経験がどのくらいあるとか決まっているのですけれども、必ずしも看護師とか医師とかがケアマネージャーになられるわけではないので、或る程度、高齢者の方の身体の仕組みとか、なりやすい病気とかは一般論としては分かりますが、それ以上のことについて求めるのは難しいでしょうね。
私は酸素を吸っているのでこういう動作の時に息苦しいとか、外に行く時にボンベを持っていくのが大変なんだと、具体的なことをお伝えになって、サービスを決められたらいいと思います。

Q2:私は障害3級で、最近の体験なんですが、家内が脳梗塞の症状が出て、私も介護保険を利用したらどうかということで二丈町役場の社会保険課に電話しましたところが手続きに来てくださいというのですね。
「そうですか、今日は遅いから明日でも行きます」と言ったのですが、もともとそんなに行動力があるわけでないで、やっと車で病院まで行っている状態ですが、丁度その時に在宅酸素をしているので酸素屋さんが酸素を持って来たので、そのことを話しましたら、「それじゃぁ二丈町には社会福祉協議会というところがあるので、そこに電話をして上げましょう。」ということだったのです。
そこから来てもらって手続きをしてもらったのですが、行政の段階でなぜ社会保険課の人が「社会福祉協議会というのがあるから、そこに話をして下さい。」と云えなかったのか、社会福祉協議会というのは業者レベルの協議会なのか、行政と中間の組織なのか、その辺が一寸理解できないのですが。よその町村のことで恐縮ですがお話願えないでしょうか?
今林: 社会福祉協議会というのは福岡県や福岡市にもありますが、どんな事業をしているか知りません。しかし、二丈町のように出張って行ってやることはないだろうと思います。
Q2':パンフレットに在宅ケア・ホットラインとありますけれども、他の市町村にもあるのでしょうか?
今林:福岡市だけの独自サービスだと思います。他の市町村では在外支援センターという名前になっています。福岡市だけ在宅ケア・ホットラインということで、所謂直営でやっています。
大隈:社会福祉協議会につきましては、この講演会の予備知識を得るために南区社会福祉協議会に行って聞きました。社会福祉協議会は一般に社協といわれ、行政と一緒に福祉のまちづくりや、ボランティアの世話をするところのようです。現在、南区社協にボランティアの登録をしている人が400人いて、利用者の方は、常時、利用している人が20人くらいだそうです。 
ボランティアは学生から60才代までいろんな人がいますので、こんな人を話し相手に選ぶのも一つの方法かと思います。人には相性があって話をしてみないと分かりませんが、いい相談相手が見つかるかも知れませんね。

Q3:パルスオキシメーターを買うのに補助があると聞きましたけれど?
大隈:福岡市では、4月から新しく日常生活用具の給付品目に加わりました。しかし、給付を受けるには条件がありまして、
 (1)特定疾患研究事業対象疾病 
 (2)人工呼吸器の装着が必要な者  
に該当する人に限られます。
最近、久留米市からも、会員の皆さんに知らせるように会に連絡がありました。お住まいの春日市に聞いて購入して下さい。
Q3':買いましたので補助してもらいたいのですが・・
大隈:この日常生活用具の給付というのは、市に連絡をして、給付決定の連絡があってから買うもので、領収書があればいいというものではありませんので、是非 買う前に申請をするようにして下さい。
参加者:給付を受けるには申請をしました。その時に主治医の先生の証明が必要でした。
大隈:今の方は福岡市南区にお住まいの特発性間質性肺炎で、パルスオキシメーターの給付を受けられています。
最近、久留米市保健医療課から、久留米市では7月から難病対策事業としてホームヘルスサービス事業と日常生活用具給付事業を実施すると通知がありました。そして人工呼吸器の装着が必要な人にパルスオキシメーターを日常生活用具の対象に加えると連絡がありました。該当する方はお住まいの市役所などに照会して見て下さい。

 おわりに
講演会は、講師の先生方の詳細な説明と質疑応答で、予定時間を超えましたが参加者には有意義な2時間でした。有難うございました。
この講演記録を纏めるに当って、再度「介護保険べんり帳」「福岡市の障害福祉」を注意して読み返しますと、今まで気付かなかったことが、文字通り《目からウロコが落ちる》ように分かってきます。どうぞ、何時も近くに置いて、介護保険や障害福祉サービスについて疑問を持ったとき、一寸開いてご覧下さい。きっと、いい答を出してくれるでしょう。
『介護保険べんり帳』には、「在宅ケア・ホットラインは単に介護保険だけに止まらず、地域での高齢者の保健、福祉、医療に関するさまざまの相談に応じ、必要に応じて自宅訪問もしてくれる」という記載があります。
また、社会福祉協議会の紹介に加え、一人暮らしの万一に備える緊急通報サービス定期的な声の訪問など、市の保健・福祉サービスなどを知る、文字通り「社会資源利用のべんり帳」です。
以上、福岡市の現状を紹介しましたが、各地方自治体は 国の定めた制度に加えてそれぞれ独自のサービスを行っていますので、保険や福祉を担当される課に尋ねて活用し、生活の質、QOLの向上に役立てて下さい。
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